二度と入られないためにどうすべきか
私はガラスの割れ換え現場を何千件とこなしてきましたが、正直な話、その中で一番気の毒だったのは、やはり「泥棒に入られた」家のお客様でした。
見知らぬ者が自分たちのやすらぎの空間である自宅に土足でズカズカと踏み込んできたのですからそれも当然です。モノやお金を盗まれたこと以上に、大きな精神的ショックを受ける方がほとんどです。
といっても、悲しんでばかりはいられません。
泥棒に侵入され、室内を荒され汚され、モノやお金を盗られたという事実は覆せません。
それらの事実を踏まえ、考えるべきは次の一点です。
「もう二度と入られないためにはどうするか」
入りやすい家と入りにくい家がある
今回の事実を教訓に、このように前向きに考えなければいけません。そのままではいけないのです。
なぜか? 「一度入られたからには、また入られる可能性が高い」からです。
思わず怖くなってしまうようなことを言って申し訳ないのですが、しかしこれは事実なのです。
泥棒があなたの家に入ったのにはれっきとした理由があります。
「入りやすかった」からです。「入りにくかった」なら入っていなかったはずです。
では、泥棒の視点から見た「入りやすい家」とはどんな家なのでしょう。
泥棒の心理を考える
ここに、捕まった泥棒による意識調査の結果があります。
グラフ 「侵入しようとしたが途中で諦めたときの理由」
これによると、「近所の人にジロジロ見られた」ときには、なんと6割以上が諦めたと回答しています。
そのほかは数字的には横ばいですが「補助錠が付いていた」、「犬を飼っていた」「機械警備が付いていた」などが続きます。
泥棒は、他人に見られて通報されることを一番嫌がるのです。
パッと侵入し、さっと仕事(盗み)を済ませ、早く確実に逃げたいのです。
では、パッと侵入できないとき、どれだけ時間がかかれば侵入を諦めるのか。
次のグラフは「泥棒が侵入を諦めた時間」です。
侵入に時間がかかると諦める
なんと7割の泥棒が、侵入に5分かかるようなら諦めると回答しています。逆にいえば、侵入に5分かかるようにすれば泥棒にとって入りにくい家、敬遠する家にできるのです。
ここに、泥棒にとって「入りやすい家」と「入りにくい家」が選別されてしまう重要なヒントが隠されています。
ちなみに、防犯性能の高い建物部品に与えられるCPマークも、この5分間を「抵抗時間」として基準にしています。
※CPマーク 「CrimePrevention」の頭文字で防犯を意味するマーク。警視庁、国土交通省などの省庁と民間団体で構成される「官民合同会議」において、住宅などの侵入に5分以上耐えられると評価された防犯性能の高い建物部品に与えられる。平成26年9月30日更新時で17種類3,261品目が登録されています。(http://www.cp-bohan.jp/)